なぜSYNAPSE projectをしているか
なぜ、SYNAPSE projectの様な活動をしているのか、SYNODOSでの連載を参照いただけると幸いです。
http://synodos.jp/authorcategory/synapseproject
特に、インタビューに活動の経緯、第1回の記事に学術的背景を含めた経緯を記してあります。
かなり若い頃に書いた恥ずかしいものですが、戒めの意味も込めて、これまでの活動の経緯とともに、以下に記録します。
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現在のSYNAPSEに至るまでの活動歴および活動費・援助など
2009
4月
菅野(専門:神経科学)が、東京大学大学院副専攻・科学技術インタープリター養成プログラムの先輩である住田(専門:科学史、元 日本科学未来館サイエンスコミュニケーター)から呼び出され、東京大学UTCPが主催する「こまば脳カフェ」のミーティングに参加。そのまま菅野が第一回こまば脳カフェのスピーカーに。
10月
日本科学未来館にて、菅野が副専攻修了研究の一環として、サイエンスアゴラ2009 トークイベント「Art, Brain & Communication! -芸術と科学の接点-」を開催。ゲストは映像作家・音楽家の高木雅勝氏と東京大学大学院医学系研究科の坂井克之准教授(当時)。このとき、大学およびBRUTUSアルバイト時代に菅野の後輩であった塚田が非公式に広報を担当。
12月
菅野と住田が第6回こまば脳カフェ「哲学×脳科学」を企画。研究会や喫煙所で以前から知り合いであった飯島(専門:認知神経科学、ゆるふわモテ形而上学)を召還、指定討論者に。ゲストはともに哲学者で、名古屋大学 戸田山和久教授と立教大学 河野哲也教授。理研BSIの藤井直孝氏が観客として一撃を放った。
2010
4月
東大本部広報清水氏より、東大オープンキャンパスで配布する冊子として、アカデミックグルーブの続編ミニ・アカデミックグルーヴの編集依頼を受ける。菅野、飯島、住田、塚田が編集チームを組み、塚田が「パターン・カタチ・リズム」というテーマが決まった直後に思い立ち、おもむろに知り合いであったNOSIGNERを下北に呼び出す。即、意気投合し、SYNAPSE Vol. 1のアートディレクションを担当することになる。
*制作費は東京大学総長裁量費による。
6月
飯島と菅野が申請した企画「東京大学を編集して魅せる!」が、東京大学学生支援事業・第3回学生企画コンテスト <学生による「タフな学生養成企画」>で優秀賞(1位)を受賞。SYNAPSE Vol. 2制作、イベント実施、本ホームページ作成などの運営費援助を受ける。その後、ホームページのディレクションをHitsme代表の佐々木新氏に依頼。また、本活動を通して、飯島の知人で福島、菅野の後輩筋である竹内、岡部が企画・運営に加わり現在のSYNAPSE Lab.のカタチに。
2011
塚田が申請した企画「学術と世界を繋ぐSYNAPSE Project」が、ソーシャルベンチャースタートアップマーケットから支援を受けるカタチで活動を継続。
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以下は、随分昔(2009年くらい)に書いた、サイエンスコミュニケーションに関する私見です。その内、書き直さねば。
ここでは、サイエンスコミュニケーションに対する私見を書いています。
最近の活動と実際のイベント内容はprojectとeventをご覧ください。
TEDx Tokyo yz でのプレゼンテーションもご参照ください こちら
サイエンスコミュニケーションとは?
「科学と社会の関係」や「社会の中での科学の役割」を考えたり、
「科学を社会に伝える」活動をサイエンスコミュニケーションと言います。
皆さんはこのサイエンスコミュニケーションという言葉をご存知でしたか?
サイエンスは面白いし社会にとっても重要なので皆に知ってもらいたい!
どうせだったら普段サイエンスにあまり触れない異分野の人と交流して新たな刺激をお互い共有したい!
これが僕のサイエンスコミュニケーションにおける基本スタンスです。
現在様々な異分野の方とのイベントを企画・実施中です。詳しくはイベントとBlogをどうぞ!
面白い企画の持ち込み、コラボも随時募集中です。
ここでは、なぜ僕がこんな活動をしているのか、
なぜそのようなやり方をしているのかを少し詳しく書いてみようと思います。
科学を伝えることに関しては実は科学者たちからも理解が少ないことも多いので(だから仕分けられるのよ・・・)、
これは普段科学に携わっていない方、携わっている方、両方へのメッセージです。
実際に研究とサイエンスコミュニケーションの両方をやるのは時間的に大変です。
「んなことやってないで実験しろよ」という同業者からの視線や、業績が出ないプレッシャーにも
耐えなければいけません・・・
それでも得るものが多い活動です。
そもそも科学研究にとってもコミュニケーション能力は重要なのです。
科学の成立すら、少なくとも研究者同士のコミュニケーションが前提なのです。
サイエンスコミュニケーションの現状・問題(私見)
近年、サイエンスカフェを中心としたイベントが盛んになり、科学業界内ではサイエンスコミュニケーションが徐々に盛んになってきました。サイエンスカフェとは、喫茶店やそれを模した場所でお茶を片手に科学者と10〜20人くらいのお客さんが気軽に語り合うことを目指した場のことです。従来の講義やセミナー、シンポジウム等よりも敷居が低く、専門家以外の人がスピーカーの科学者に気軽に質問や意見をし、相方向的に会話が進むことを目指しています。本来は大学の外で少人数でやるものでしたが、最近では場所、規模ともに様々な形体となり、気軽なトーク形式科学イベントに広く使われるようになった印象が個人的にはあります。サイエンスカフェ以外にも日本科学技術振興機構(JST)主催のサイエンスアゴラのような規模の大きいイベントも行われるようになりました。
しかし、普段科学や学術の世界の外にいる皆さんの内で、どれくらいの人がサイエンスコミュニケーションやサイエンスカフェの存在をご存知でしょうか?
科学と社会を繋ぐサイエンスコミュニケーションですが、科学と社会の間に「サイエンスコミュニケーション業界」という新たな分野が出来ただけで、結局は繋げることができていないのが現状ではないかと私は考えています。
今、科学を社会に伝えなければいけない理由は、科学への理解と関心が低いからです。理科離れや事業仕分け、科学的根拠のないものの横行などがその例でしょうか。ですから、サイエンスコミュニケーションの主なターゲットは、普段科学に触れていない人、関心が無い人、社会に情報を流す人、政策決定をする人であるはずなのです。
ですが現状では、サイエンスコミュニケーションイベントに参加する人というのは、もともと科学好きな人、科学をやっている人、サイエンスコミュニケーションをやっている人がほとんどなのではないか?と私は感じています。
これまでは科学が専門ではない科学好きな人が参加しやすいイベントすら少なかったので、一定の効果はあったと思いますが、科学好きを増やす、科学嫌いを減らすという目的からするとまだまだ十分な効果を発揮出来ていないというのが現状です。
そもそも科学に関心が無い人は、ネットで科学イベントを検索もしないでしょうし、そういう本もなかなか手に取らないでしょう。 一方的に「科学は大事だ!」と叫んでも、その声は届きません。 こういった低関心層に振り向いてもらうにはどうしたら良いでしょうか?
ただ単に分かりやすくてもあまり意味はありません。分かりやすいことと、興味を持つかどうかは少し違ったものです。科学自体への興味関心が高い社会なら分かりやすくすればそれで良いかもしれません。しかし「科学」に振り向いてもらえないということは、科学番組、科学雑誌、科学イベントという枠組みを使っている時点で、低関心層からは振り向いてもらえないのではないか!?と私は考えています。サイエンスカフェという枠組みすら、科学を広める手段としてはすでに力不足だと言わざる終えない時期に来ているかもしれません。これらの枠組みの外に飛び出す時が来たのです。
異分野交流の重要性
科学技術社会論という分野でも、ただ単に知識を沢山知っても科学好きにはならない(欠如モデル)ということは言われていました。科学を伝える際には受け手側の文脈に入り込まないと興味をもってもらえないのです(文脈モデル)。
しかし私の不満は、サイエンスコミュニケーションの分野ではしばしば「科学者と一般の人」という表現が使われるということです。「一般」とはなんでしょうか?この表現はただ単に「科学以外」をさしているに過ぎないと思います。この「一般」とは科学以外の他の専門分野・専門家の集まりなのです。そもそも社会とは様々な異分野の集合なはずです。科学もその一分野に過ぎません。それなのに科学の素人ということで自分たち以外の社会を「一般」という風に観ているようでは、伝える際に沿うべき「文脈」は見えてこないのです。
科学以外の「一般」の人すべてに共通の文脈などあるのでしょうか?あったとしても、モテたいとか、奇麗になりたいとか、健康のこととか、重要なことですがいかにもトンデモ科学、似非科学が取り上げそうな分野です。じつはこれらのことは科学への理解が深まりトンデモに引っかからないバックグラウンドを持ってからでないと扱うことは危険なのです。
私の考えでは、社会が異なる分野の集合であるならば、そのそれぞれの分野との対話、コラボレーションとしてサイエンスコミュニケーション活動をしていくのが効果的ではないかと思っています。サイエンスコミュニケーションとは一種の異文化コミュニケーションだと思うです。
例えば、社会には金融、流通、食品、美容、環境、芸術、デザイン、建築、広告、出版、情報通信、、、と数えきれないほどの無数の職種がありますが、こうやって分けてみれば、そのそれぞれ一つ一つと一対一で対話すれば、科学の側からでも興味をもってくれそうな話題が提供出来そうな気がします。
そこでそれぞれの分野の情報発信力のある人、注目されている人、オピニオンリーダー達との対話をすれば、その人たちを通じて異分野の人に科学が伝わるのではないかと、現在私は考えています。
例えば、すでに私はそのようなイベントをしていますが、芸術家と科学者の対談イベントをすれば普段科学の話をあまりきかない芸術好きの人(普段から科学に興味がある人もいるでしょうが)や美大生などが足を運んでくれるわけです。このように普段接点をもたい異分野と異分野を交流させる装置を作ることで、今よりはサイエンスコミュニケーションがうまくいくと考えています。なので異分野交流が重要なのです。
それに異分野の人と話をするのはとても刺激的です。実際に何か仕事をするとなると、大変だったりもするのですが・・・
そもそも、なぜ科学を伝えるのか?
後日更新・・・
伝えることのモデルと実践(サイエンスコミュニケーションのテクニック的なこと)
後日更新・・・
科学者よ、学者よ、自ら外に出よ!
上記のように、科学者が科学界の内側にいたまま声をあげても社会には届きません。自ら外に出て、社会にどっぷり浸からなければ、聞く耳をもってもらえないのです。そういうことをしてこなかったツケが、昨今の事業仕分けの時に回ってきたのだと思います。
また、メディアにに出ることを嫌って断ってばかりでは、特定の科学者(?)ばかりが露出することになり、科学の実像が社会に伝わりません。だからこそ、本物の科学者が出て行かなくてはならないのです!
科学者よ今こそ自ら社会にでよ!
(生意気ですみません、是非御自ら出てください)